2016-01-25
取材/文=森 篤史
写真=高野 雅之
老舗楽器メーカー2代目がつくるナカノの次の50年(第3話/全3話)
2016-02-23
第1話、第2話を通じて株式会社ナカノのあゆみが明らかになったところで、最終話はそれらを踏まえて次の50年をつくるとはどういうことか、中埜の2代目が想像する未来はどのような世界なのか、その真相に迫る。
MUSIC FOR LIVINGという世界
―何度もお話の中に登場する、「MUSIC FOR LIVING」という標語ですが、社長としてはどのようにこの言葉を捉えていますか?
一貫して考えていることは、「いかにしてお客様と寄り添って生きていくか?」です。それを突き詰めて考えていくと、お客様の生活に寄り添う音楽製品を提供していくことがわたしたちの使命であるという考えに至りました。MUSIC FOR LIVINGとは、空気のようなもので、居心地良く、そっとそばに寄り添っているという空間を言語化した標語です。この感覚というのは家族にも似ています。当たり前のようにいて、大事で、人が生きていくことの中で重要な意味をもつ存在です。それにプラスして、音楽も好きなので、そうした寄り添う製品が提供できて、多くの人と共生できたなら、音楽が取り巻く空気が和やかに穏やかに生活していくことに繋がり、結果的に音楽業界に貢献できればという想いがあります。
―思い返せば、ナカノさんの製品は暖かみがあって、本当に嫌な感じがしないというか、心地よいですよね。根底の想いが製品にも繋がっているんですね。
そうですね、大事にしているMUSIC FOR LIVINGは各製品にも反映されていると思います。そういった考えのもとやっているから、ナカノの製品というのは日用品が多いんです。例えば音楽製品の会社なのに、爪きりやクッション、ダストボックスやコースターなども販売しています。モチーフに音楽の要素を加えているものが多いですが、そういった音楽雑貨事業に踏み切ったのもMUSIC FOR LIVINGをベースとした判断なんです。
―ナカノさんがどんな会社なのかわかってきました。実現しようとしているのは、ナカノ製品が多くの人に使われる世界ではなくて、とっても身近なひとりひとりの日常が豊かで暖かい、そういった世界なんですね。
ありがとうございます。そうした音楽が包み込み、取り巻くやさしい空気感の実現というのが、ナカノの目指す世界観なのだと思います。
音を楽しむための取り組み
―そうした目指す世界観を踏まえて、今後ナカノさんが実施してゆく役割というのはどいういったものなんでしょうか?
積極的に取り組み始めているのが「おとでおはなし」というお子様向けの絵本小冊子の取り組みです。この「おとでおはなし」は、お子様の表現力や感性を育むための体験型のプログラムになっています。楽器を販売するだけでなく一緒に使い方なんかを紹介できればと考え、2013年から取り組みをはじめました。
―「おとでおはなし」とはどういう内容になっているんですか?
「おとでおはなし」は、たとえば「楽器を購入したけれど、どうやって音を出したらいいのかわからない。」といった時に、わかりやすく音の出し方を理解できる内容になっています。全体を通してやさしい挿絵とともにストーリーが展開していく作りになっていて、音符だけでなく、色でも奏で方を理解できるように工夫してあります。
―これなら、小さいお子さんでも簡単にメロディーが演奏できたり、リズムを奏でることができますね。
そうですね、難しいことは考えずに、純粋に音を楽しむというところで、役に立っていけたらという思いで、こうした取り組みは大事にしていきたいですね。
―ありがとうございます。ひとつひとつに想いが乗っているナカノさんの製品に愛着を感じるようになってきました。最後に社長から見たナカノという会社とはどんな会社なのかを伺ってインタビューを終えたいと思います!
はい、根底にはMUSIC FOR LIVINGという思想を大事にしていて、企業の姿勢としては、「嘘をつかない、背伸びをしない、上品であること」これらを守っていく組織なのかなと思います。
―なんか家族の暖かさみたいなものを感じていましたが、やっぱり会社の空気感というのは思いや姿勢がにじみ出てしまうものなんですね。本日はありがとうございました。
ありがとうございました。
Writer
Editorial Department
ナカノ編集部
ナカノの社内スタッフと外部パートナーでつくった編集チームです!素のナカノをそのままに発信していきます。少しでも身近な存在になっていけたらと思っております!